クロスした嘴のイスカ その宿命と生存戦略とは?【ダーウィンが来た!】

クロスした嘴のイスカ その宿命と生存戦略とは? 野生動物

こんにちは!管理人のshioriです!

本日のダーウィンが来た!で放送されるイスカについて、皆さんご存知ですか?

私は北海道アウトドアガイドの資格を持っており、よく野鳥やその他動物の写真を撮りに行くのですが、数年前に帯広の林内でこのイスカを見たことがあります。

野鳥に詳しくない人でも、ひと目見れば「あ!これがイスカか!」
と分かるほど特徴的なビジュアルをしています。

このイスカについてどんな放送がされるのかとても楽しみですね。

今日はそんなイスカについてもっと深く知れるように、予め予習していきたいと思います!

イスカについて

形態

全長は約17~18.5cm体重は30~50g翼長は85~102mmであり、上下の嘴が左右にずれて交差しています。

オスの翼と尾羽は黒褐色、体の大部分が赤橙色であり、稀に青みのある黄色個体も存在します。

メスは頭から背がオリーブ色、体下面は黄色っぽくなっています。

生態

生息環境

イスカは主に針葉樹林に生息しており、特にアカマツやクロマツ、トウヒ、モミなどの球果が豊富な場所を好みます。

日本では冬鳥として本州や北海道に渡来し、その山地で少数が繁殖します。

食性

マツ類の種子が主食であり、交差した嘴で松ぼっくりをこじ開け、ハート型の舌の突起に種子を引っかけて食べます。

マツ以外にもハンノキ類の実や小さな昆虫を食べることもあります。

繁殖

針葉樹の実りに合わせて繁殖期が決まるため、鳥類としては珍しく冬(2月頃)に繁殖することもあります。

マツなどの樹上に枯れ枝でお椀形の巣を作り、産卵数は2~4個、抱卵期間は約13~16日で孵化後約14日で巣立ちます。

行動の特徴

樹上生活が中心で、一年中群れで生活する傾向があります。

私が帯広で見た個体は1羽でいたので、もしかすると群れからはぐれてしまったのかもしれませんね。

渡りは不規則で、針葉樹の結実状況に応じで変わります。

なぜ嘴がクロスしているの?

松ぼっくりの”カサ”をこじ開けるための特殊進化

先述した通り、イスカはマツやトウヒなど針葉樹の種子を食べます。

松ぼっくりの”カサ”は硬く閉じており、普通の鳥の嘴では開けにくい構造です。

イスカの嘴は、この開けにくい松ぼっくりをこじ開けるために“特殊進化”したのです。

左右にずれている上下の嘴をカサに差し込むことで、テコの原理を利用して押し広げられるのです。

この構造があるからこそ、イスカは松ぼっくりの種子を素早く取り出せる”専門家”になったという訳ですね。

これは他の鳥類にはマネできないことですから、イスカが長い年月をかけて編み出したまさに“生存戦略”というわけです。

具体的な使い方

イスカの嘴は下嘴が上方向、上嘴が下方向へわずかに曲がっています。

下嘴がカサを上に押し上げ、上嘴がカサを下に押し下げることで隙間を広げて種子をつまみ出すことができるということです。

ヒナの頃は交差していない

この交差した嘴ですが、生まれた時からというわけではありません。

生まれたばかりのヒナの嘴はまだ交差しておらず、孵化後10日目ほどから徐々に交差が進むということです。

確かに孵化直後はどの野鳥も嘴は短いですし、親鳥から給餌してもらいますから最初からクロスしている必要はなさそうですよね。

クロスの嘴による宿命

クロスの嘴は松ぼっくりを食べる点では圧倒的に有利ですが、他の野鳥と比べると“いくつかの不利益”も生じます。

食べられる餌が極端に限定される

クロスした嘴は、マツやトウヒなどの球果専用の道具です。

このため、他の鳥が食べられる草の種子木の実昆虫などを効率よく食べることができません。

餌資源が不作の年には大規模に移動せざるを得ないというのが大きなデメリットですね。

ヒナの時期の嘴は”未完成”

先述した通り、イスカのヒナは孵化後10日ごろから嘴の交差が進みます。

巣立ちは孵化後14日ほどですから、たった4日で完璧に嘴をクロスさせることは難しいですよね。

このため、幼鳥は暫く松ぼっくりを自力で開けることができず、親からの給餌が必須となってしまいます。

他の採餌方法が苦手

他の野鳥ができる“地面の餌を拾う”“枝の実をついばむ”“昆虫を捕まえる”といったことは、できなくはありません。

できなくはありませんが、大の苦手です。

クロスした嘴は“生きるための生存戦略”ではありますが、代償に本来の鳥の嘴の”万能性”を失わせてしまっているということです。

まとめ

いかがでしたか?

イスカ凄い!!と思う一方で、おいおい大丈夫かよ…という気持ちも拭えませんね…

ただ、世界的に見ても一部の亜種や地域集団は保全対象となっているようですが、重要種には分類されていないようです。

ということは、この“針葉樹の球果一択”で行くスタンスは生存戦略として間違ってはいないということですね。

植物ですから、マツの球果が不作の年もあるでしょうが、球果が豊作な地域に渡るなどしてこれからも図太く生きて欲しいですね。

こんな生き物について本日、「ダーウィンが来た!」で放送されますので、皆さんぜひご覧ください!

それでは本日も最後までご覧いただきありがとうございました!

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