クマの事故は年々増えている?クマに遭遇しないためには?

野生動物

こんにちは!管理人のshioriです!
北海道は雪がたくさん積もって除雪が大変…
妊娠中ということもあり、なかなか思うように除雪できない日々が続いております
(´-ω-`)

雪が積もったということは、多くのヒグマが冬眠する季節になったということですが…
本州はそうもいかないですよね。
北海道でも必ず全てのヒグマが冬眠するわけではなく、体の大きな個体は塒(ねぐら)に入れず通年うろうろしていることもあります。

近年人々の暮らしを脅かしているクマについて、今回は…


昨今のクマ事故件数の推移
クマに遭遇しないためには?
遭遇した場合の対処方法とは?

について、6年間の環境コンサルタント経験や北海道アウトドアガイドの観点からお話していきたいと思います!

昨今のクマ事故件数の推移

近年増加していると言われているクマによる事故件数について、実際本当に増えているのかをグラフ化してみました。
参考にした資料は環境省が出している“クマ類による人身被害について [速報値]”です。
https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort12/injury-qe.pdf

このグラフを見ると、確かに被害件数は近年多いように見えますが、毎年継続的に増えているというわけではなさそうですね。

ツキノワグマもヒグマも爆発的に被害件数が増加した翌年は減少していることが見てわかります。

被害件数の増減はなぜ起こる?

被害件数の増減が起こる要因は様々ですが、これには“密度依存”が大きく関わっています。
この密度依存とは、個体数が増えるほど餌や縄張り、水、繁殖場所などの資源が不足し、生存率や繁殖率が下がる現象のことを言います。
結果として、クマのような天敵がいない動物でも個体数が自然に調整されるのです。

ニュースなどでは“山の作物が不足して”というワードが度々出ますが、実際の要因はそれだけでは無く、この密度依存によるものと考えることができますね。

なぜツキノワグマによるクマ事故件数が多いのか

更にグラフを見てみると、ツキノワグマによるクマの事故件数の方が圧倒的に多いですよね。

これは、そもそものクマの個体数や人口密度の違いにもよりますが、一番理由として大きいのは人とツキノワグマの生活圏の重なりがヒグマよりも大きいということです。

本州は里山里地など、多くの生き物が住みやすい環境がたくさんあります。

北海道にも山林横などに農耕地はありますが、クマが隠れながら民家に近づける場所や季節は本州ほど多くありません。

本来ならば生態系ネットワークとして重宝される山地→里山里地→人里といった繋がりのある環境が結果的にツキノワグマが往来しやすい環境を生み出し、人との遭遇率を高めている要因となっているのかもしれません。

ヒグマに遭遇した場合の死亡率が高いのはなぜ?

ヒグマに遭遇した場合、ツキノワグマに遭遇した時より死亡率が高いのはなぜでしょうか。

皆さんが真っ先に考えるのは体格差ですよね。

ツキノワグマの体長が1.2-1.8m、体重が40-130kgであるのに対し、ヒグマは体長1.5-2.5m、体重150-400kgほどです。

そりゃ勝てるわけがない…

体格差に加え、攻撃方法がツキノワグマは威嚇的な攻撃が多いのに対し、ヒグマは獲物を仕留めるための攻撃をします。

このことから分かるように、特にヒグマはいかに遭遇しないよう努めるかが重要になってきます。

クマに遭遇しないためには?

前項に示した通り、ヒグマに遭遇してしまうと死亡する確率はとても高くなります
クマに遭遇した時の身を守る体勢はガイドブックなどに載っていますが、あくまで致命傷を避けるためのものですし、ヒグマに会った瞬間に実践できる人はそうそういないと思います。

とにかく!出会わないことが一番です!
まずはその出会わないための対策についてお伝えします。

私は今まで調査や登山で山林や河川、笹藪をたくさん歩いてきましたが、一度もクマに遭遇したことはありません。
しかし、ニアピンは何度もあります。
調査地点の下見をする際に、往路では無かった足跡が復路ではあったり、定点カメラを回収する直前の映像を見るとクマが映り込んでいたりと、ヒヤッとすることは何度もありました。

それでもクマに遭遇して襲われることも無く、無事に調査を終えられたのは何故でしょうか。

その要因として挙げられるのは

絶対に単独でクマの生息圏に入らない
クマの生息圏では走らない
熊鈴を常に鳴らす
・見通しの悪い場所では手を叩いたり大きな声を出す
常に同行者とお喋りをする
獣の臭いや笹薮の動く音に敏感に耳を傾ける
臭いの強い飲食物は携行しない

この7点かと思います。
そしてこの中で重要なのが、“絶対に単独でクマの生息圏に入らない”ことと、“クマの生息圏では走らない”ことです。

絶対に単独でクマの生息圏に入らない

北海道が出している「各年度 ヒグマによる人身事故発生状況」によると、単独で入林した場合に死亡事故や重傷被害が発生しているようです。
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/higuma/higuma-accident.html

仮に複数人で入林したとしても、10m以上も同行者と離れて歩いていれば単独入林しているのと同じことです。
特に見通しの悪い場所では同行者との距離を5m未満には保つようにしたいですね。

私は一度、連れ添う同行者がいなかった時に1人で佐幌岳という山を登ろうとしたことがあります。
登り始めは問題ありませんでしたが、佐幌岳は160cmの私の身長を優に超える笹の道が続いています。そんな笹薮がガサッと大きく動いたのです。


「クマに遭遇したら背を向けず叫ばずに後ずさりする」

知識として知っていたとしても、そんなこと実践できるわけがありません。
私は一番やってはいけない叫びながら猛ダッシュで下山しました。
それ以降、一度も1人では登山していません。

その笹薮を揺らしたのがヒグマだったのか、エゾシカだったのか、はたまた中型哺乳類だったのかは分かりませんが、その正体がヒグマだったら今私は生きていなかったかもしれません。

クマの生息圏では走らない

「単独行動しない」と同じくらい重要なのが、“クマの生息圏では走らない”ことです。

私たちが突然クマに遭遇したら心臓が飛び出るほどビックリするように、クマだってビックリします。


調査時には林道を車で走行することが何度もありましたが、上司が爆速で林道をとばしていた時、大きなヒグマが急いで横断するのを2回ほど見たことがあります。
急に車が現れてとても驚いたのだと思います。
もしゆっくり走行して徐々に車が近づく音に気付いていれば、車に遭遇する前に離れていたでしょう。

これは車に限らず、人でも同じことです。

仮に私たち人間が山に住む生き物だったとして、林道や登山道を横断しようとしていたところにヒグマが爆速で走ってきたらどうですか?めちゃくちゃビビりますよね。

ビビった末にどう行動するか…
虫が嫌いな人で言えば、「突然ブーンと目の前に現れた虫を怖いから叩き落とす」
それと同じです。
クマからすれば人間なんてそんなものです。

ですから、クマを驚かせないためにも“クマの生息圏では走らない”ということを意識していただければと思います。

遭遇した場合の対処方法とは?

正直、特にヒグマと接近戦になった場合は諦めてくださいとしか言えません。
100%助かる方法というものは無いと認識してください。

生存率がやや高まる主な方法は

身を守る態勢をとる
背中を見せずゆっくり後ずさりする
熊スプレーで撃退する
傘などで自分を大きく見せる

等ですが、いずれもクマの興奮状態や距離感によって成功率はまちまちです。

身を守る体勢は遭遇した段階でとってしまうと、「どうぞ食べてください」という意味になりかねませんので、あくまでも攻撃が始まってしまった場合の守り体勢だと認識してください。

熊スプレーに至っては風向きによるので完全に運任せになります。
狭い登山道でクマと間合いを取りながら風を読んで…なんて無理な話ですよね。私も携行していますが、ほぼ精神を落ち着かせるためのお守りでしかありません。

傘などで自分を大きく見せる方法も、近くで急に行えば逆にクマを刺激しかねません。
適度な距離でゆっくり大きく見せることが重要になりますが、そんな冷静な判断はできませんよね。

兎にも角にも、

“遭遇しないように努める”

これに尽きます…!

まとめ

いかがでしたか?

今回はクマの事故と遭遇しないための方法について記載しました。

クマ被害は毎年継続的に増え続けているわけではないこと、被害件数の増減は密度依存によるものが大きいことをお伝えしました。

また、ヒグマに遭遇した場合はツキノワグマより死亡確率が高く、遭遇しないことが何より重要であることもお話しました。

クマに遭遇しないためには、

“絶対に単独でクマの生息圏に入らない”
“クマの生息圏では走らない”

ことに気を付けましょう。

人里により出没してしまうツキノワグマによる被害件数を抑えるには、耕作・里山放棄地に残った餌となり得るものの除去が重要です。
こちらは1人1人の意識というよりは町や国を挙げての対策になるので、今後の各自治体の動きに注目していきたいですね。

北海道ではマナーを守った観光も重要になります。
“ヒグマを見たい!”または“撮影したい!”がために餌を与えるのは明らかにマナー違反です。
それこそ、人を警戒しないクマを爆誕させてしまう大きな要因になります。

遠くから来たんだし絶対に見たい!という気持ちは分かりますが、野生動物との出会いは一期一会です。
奇跡的に出会えてこそ感動も大きいものであることを心に留めていただきたいですね。

それでは本日はこのあたりで!
最後までご覧いただきありがとうございました!

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